ホリデーシーズンとEコマース

2014/11/05

 

10月31日のハロウィーンも終わり、11月のサンクスギビング、12月のクリスマスと小売業にとって1年で最も忙しくなる時期”ホリデーシーズン”を迎えようとしている。最近の傾向として、小売業の売上に占めるEコマースの割合が増加しており、実店舗のみならずEコマースへの対応も重要な要素となるとともに、配送業者にとっても最も忙しい時期となる。
Amazon.comから本日届いたメール
(↑Amazon.comから本日届いたメール)

 

U.S. Census Bureauの統計によると、昨年の小売全体の売上は4兆5,348億ドルであったが、Eコマースの成長が小売全体の成長にも貢献していると見るアナリストも多い。

下のグラフは、U.S. Census Bureauから発表されている、四半期別Eコマースの売上と、小売全体の売上に占めるEコマースの割合を表したものだが、2008年から2009年のいわゆるリーマンショックの時期を除くと着実に右肩上がりに増加しているのが顕著である。

 

四半期別 Eコマースの売上 (U.S. Census Bureauより)四半期別 Eコマースの売上

 

四半期別 小売売上全体に占めるEコマースの割合 (U.S. Census Bureauより)
四半期別 小売売上全体に占めるEコマースの割合

 

小売全体の売上に占めるEコマースの割合は、2007年にはわずか3%強ほどであったが、今年はおおよそ9%近くを占めるほどに成長するだろうという予測もある。

 

Eコマースの大きなメリットの一つとして、商品検索や注文の容易さに加え、アメリカでは購入した場所と同じ州に物理的な拠点がない場合、購入時にSales Tax(日本でいう消費税)がかからないというのがあったことも、Eコマースの普及を促す要因ともなっていた。誰もが行わなければならない確定申告の際に、Eコマースでの購入額を申告して、結果として別途Sales Taxを納めなければならないが、購入時にSales Taxを払わないとなんとなく得した気分にもなり、Eコマース利用者にとっては魅力あるものであった。が、カリフォルニア州やニューヨーク州など各州での法変更によりSales Taxが購入時に徴収されるようになり、Amazon.comをはじめEコマースの売上が減少するのではないかとも言われていたが、消費者の受け入れも早くそれほど大きな影響はでていないようである。

 

ところで、アメリカにおける最近のEコマースでは、特に配送に関する改善、取り組みが盛んに見られる。
東海岸から西海岸まで約4,000kmもある広大さゆえ、注文してから配達されるまで1週間以上かかるのはごく普通のことである。日本では無料配送や同日、翌日配達といったサービスは一般的とも言えるが、アメリカでは夢のような話しであった。商品をオーダーしてから受け取るまでには、Processing(オーダー処理、ピッキング、梱包等)とShipping(配達)の2つの部分に分かれるが、後者のShippingで利用する配送手段により、受け取るまでの日数が大きく異なる。

 

四半期別 小売売上全体に占めるEコマースの割合
(Amazon.comの解説図より)

 

どうしても早く受け取りたい場合は、かなり高額な配送料を払わなければならない。
が、無料配送や短期配達の流れは、ようやくアメリカでも始まってきている。昨年のホリデーシーズンでは、前年以上に無料配送サービスを行う企業が増加し、その傾向は今年も顕著となっている。また、広大なアメリカにおける同日配送への試みは、Eコマースのいわばアキレス腱とも言える”注文日から受取日までの期間”を大きく改善させようとするものであり、Amazon.comやeBayなどが取り組みを始めている。

 

Amazon.comは、地域および商品限定で同日配送サービスを開始している。これに合わせて、今までの広大な土地の大規模配送センターに加え、大都市近郊に小規模配送センターも多く保持し、同日サービスに対応するようにしている。さらに、今まで参入が難しいと言われていた食料品へのEコマースを”Amazon Fresh”というサービスにて地域限定で順次進められているが、食料品のみならずAmazon.comで扱う商品も合わせて同日配送サービスを行っている。eBayは、同日配達サービス企業を買収して自社サービスとして提供を始めている。
配達期間の短縮化に伴い、Google Shopping Expressに代表されるような各地域限定のサービスも出てきている。

また、Amazon.comは、アメリカの郵政事業USPS(US Postal Service)とのパートナーシップによる日曜配達サービスを発表している。まずは、ロスアンゼルスとニューヨークなど大都市にてサービスを開始、今年中にはダラスやフェニックスなど他都市でも展開する。追加料金なしに2日後の配達を受けることができるAmazonプライムメンバーは、金曜日の注文は今までは月曜日の配達となっていたが、当サービスにより対象地域のプライムメンバーは、金曜日の注文でも日曜日に商品を受け取ることができ、顧客満足度の観点からも大きなサービスとなる。
他に、Eコマースで注文をして実店舗で商品を受け取る、実店舗を絡めたマルチチャネル戦略により商品受け渡し短縮化を行う企業も多くなっている。

 

配送と言えば、昨年はサンクスギビングからクリスマスまでの期間が2012年よりも6日間短かったことから、この期間に注文が集中、さらに12月下旬にはいってもクリスマスまでに商品が届くことを約束して最後の追い込みを行った企業も多く、UPSやFedExといった大手配送会社でも配送が追いつかず、結果としてクリスマスに間に合わなかったものも多く、年が明けても商品配送に全く目処がたっていない企業もあった。私もクリスマスに間に合うように注文した商品がクリスマス後でも届かず、その対応に追われた記憶がある。UPSでは、一時的に人員や貨物機の増強をしたにも拘らず、配送量が空輸可能なキャパシティをオーバーした。UPSのハブ空港では、通常の平均フライト数が1日950のところ、ホリデーシーズンのピーク週では、貨物機を23機増強し1日2,400フライトにより対応したが、それでも全てを配送することができなかったようである。このハブ拠点では、通常160万小包を取り扱うが、12月23日だけでも倍以上の350万が集中したと言われている。ひとたび商品を配送業者に渡したあとは、Eコマース企業としては何もコントロールできないが、思わぬところでカスタマーサービスの対応姿勢も試されたとも言えよう。

 

果たして、今年のホリデーシーズンにおけるEコマースの売上はどのくらいまで増加するか。各企業は、配送まで含めた戦略をすでに策定中である。

YAS

YAS

イグレック米国オフィス統括

”日本のよいものを世界へ、世界のよいものを日本へ -Japan to the World, World to Japan”というコンセプトのもと、日本企業のグローバル展開や日本マーケットへのビジネス参入を目指すグローバル企業へのサポートも行う。
同時に、”オンラインマーケティング”、”Eコマース戦略立案”、”ビジネスオペレーション”等に関するビジネスコンサルティングも提供。

ビジネスコンサルタントとして独立前は、オラクルコーポレーションにて日本の戦略パートナーとの世界的戦略提携を実現。1997年に渡米するまでは、外資系IT企業にて営業、営業マネジャーとして活躍。

シリコンバレー在住

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komiyama

【専門家】江島民子

株式会社グリーゼ代表取締役 ・日本オンラインショッピング大賞審査員 ・SOHOホームページ大賞審査員 ・全国イーコマース協議会ベストECショップ大賞審査員 ・マイクロソフト社の社会貢献事業「女性起業UPルーム」初代コーディネイター ・非営利団体日本ネットライター協会(JNWA)運営委員長 ・2001年に日経ウーマン誌選出「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」ネット部門7位受賞。 ・日経MJ、雑誌「ネット販売」「インターネットでお店やろうよ」「おとりよせネット」等に、連載・寄稿多数 ◇会社サイトはこちら 株式会社グリーゼ オフィシャルサイト http://gliese.co.jp/ ◇事業サイトはこちら メルマガ制作なら、「コトバの、チカラ」 http://kotoba-no-chikara.com/

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株式会社ECコンサルカンパニー代表取締役社長。 自ら1999年よりネットショップ運営に携わり、立ち上げ1年半で月商4500万円を達成。 コンサル指導店舗200社を年商1億円以上へ導く。 商店街から一部上場会社まで規模、業界を選ばず、必要に応じて、商品開発、人材教育、入社面接、経営戦略、資金繰り対策とすべての経営スキルに精通。 現場知る情熱的指導法は、定評が高く、会社顧問、コンサルティング、講師として活躍。 サポート実績企業は1000社を超え自ら著書3冊を持つ。 http://jeccica.jp/about/trustee/

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株式会社ISSUN(イッスン)代表取締役。 2000年よりEC数社を立ち上げ各賞を受賞、2003年に立ち上げたECを数年で年商20億と急成長させ株式上場、その後、事業の保有株を売却し、シリコンバレー等海外の次世代eコマースの現場を研究。 ソーシャルとの連携による新たなマーケティング手法を確立し、2011年にウェブ制作・マーケティング会社、ISSUNを設立、先細りしつつある従来のマーケティング手法を立て直し「心の通うオンラインマーケティング」で売上改善を果たしている。全国各地でのセミナーやコンサルティングなども手がける。